ReFlow
← Insights 一覧へ
AI×ホスピタリティ2026.05.165 min read

Claude Sonnet 4.6 と Haiku 4.5 を、宿泊現場でどう使い分けるか

2026 年 5 月時点の Anthropic Claude のラインナップを、ホテル・民泊の実運用シーンに当てはめて、どこに Sonnet を使い、どこに Haiku を使うかを整理します。

伯耆原 翔

株式会社ReFlow 代表取締役

Claude Sonnet 4.6 と Haiku 4.5 を、宿泊現場でどう使い分けるか

宿泊業の方から「AI で業務を自動化したい」とご相談を受けたとき。

私がいちばん最初に詰めるのは、機能でも仕様でもなく、「どのモデルを、どこで使うか」 です。

これを最初に決めずに導入すると、月のコストが想定の 3 倍に膨らみます。

この記事で分かること

  • 2026 年 5 月時点の Claude モデル 3 種類の価格と特徴
  • Haiku を使うべき業務、Sonnet を使うべき業務
  • 100 室ホテルでの実コスト試算
  • 「全部 Sonnet」が失敗する理由

2026 年 5 月時点のラインナップ

Anthropic の公式価格は次の通りです(1M = 100 万トークンあたり)。

モデル Input Output 速度 主な用途
Claude Opus 4.7 $5 $25 最難関のタスク(宿泊現場では稀)
Claude Sonnet 4.6 $3 $15 文章生成・判断・コード
Claude Haiku 4.5 $1 $5 最速 大量・定型・即応答

宿泊現場で Opus を常用するケースはほぼありません

実運用の主役は、Haiku 4.5 と Sonnet 4.6 の 2 枚 です。


Haiku 4.5 を使うべき業務

Haiku の良さは「安い・速い・素直に指示に従う」の 3 点。

シンプルな質問への即答や、定型の整形・分類なら、これで十分です。

推奨ユースケース

  • マニュアル QA: 「Wi-Fi のパスワードは?」「駐車場の場所は?」など
  • 予約確認メールの定型生成: 名前・予約番号を差し込んだ文面
  • レビューの感情分類: ★スコアではなく「料金不満/設備満足」のような多軸タグ付け
  • 多言語翻訳の一次稿: 後で人が校正する前提なら Haiku で充分

コスト試算: 月 5,000 件の問い合わせを捌く

1 件あたり 入力 800 token / 出力 200 token と仮定すると:

  • Input: 4,000,000 token × $1 / 1M = $4
  • Output: 1,000,000 token × $5 / 1M = $5
  • 合計: 月 $9(約 ¥1,350)

これが「マニュアル AI」の現実的なコスト感です。

スタッフ 1 名の 1 日分にも届きません。

Point

Haiku は「大量に来るが、答えがほぼ決まっている」業務専用。月 ¥1,000 台で回ります。


Sonnet 4.6 を使うべき業務

Sonnet の良さは「文章の機微・多段ステップの判断・コード生成」に強いこと。

人が読んだとき「あ、ちゃんと考えてる」と思える出力が必要な業務は、こちらに任せます。

推奨ユースケース

  • クレーム対応文の生成: 怒っているゲストに送る、角の立たない返信
  • エスカレーション判断: 質問を読んで「これは人に渡すべき」と AI 自身が判断
  • レビュー返信文の生成: 施設のトーンに沿った高評価・低評価への返信
  • 議事録の要約 + アクション抽出: スタッフミーティングの文字起こしから ToDo を起こす
  • 業務手順書(SOP)のドラフト生成

コスト試算: 月 200 件のクレーム返信

1 件あたり 入力 3,000 token / 出力 800 token と仮定すると:

  • Input: 600,000 token × $3 / 1M = $1.8
  • Output: 160,000 token × $15 / 1M = $2.4
  • 合計: 月 $4.2(約 ¥630)

質を妥協できない領域でも、件数が少なければコストは気にならない範囲です。

Point

Sonnet は「件数は少ないが、外せない判断・文章」専用。月 ¥1,000 以下でも収まります。


使い分けの設計パターン

ReFlow で複数案件に採用しているのが、「一次回答 Haiku → エスカレーション判定 → Sonnet で深く処理」 の 2 段構えです。

フロー例: マニュアル QA

  1. ゲストの質問を Haiku 4.5 が受ける
  2. マニュアルから関連箇所を引いて回答を試みる
  3. 信頼度が低い質問(マニュアル外・感情を含む文章)を検知したら、Sonnet 4.6 に投げ直す
  4. それでも判断できない場合は、人にエスカレーション

このパターンで、95% の問い合わせを Haiku が安く高速に処理し、残り 5% だけ Sonnet が深く考える 状態を作ります。


「全部 Sonnet」が失敗する理由

「とりあえず一番良いモデルで」と仰る方が多いのですが、これは罠です。

マニュアル QA を全部 Sonnet で捌くと、上の試算は単純に 3 倍 になります。

構成 月コスト
Haiku のみ(マニュアル QA 5,000 件) 約 ¥1,400
Sonnet のみ(同上) 約 ¥4,200

1 施設で月 ¥2,800 の差は小さいかもしれません。

しかし 3 施設、5 施設と運営するチェーンでは、年間で数十万円の差 になります。

Point

「品質が必要な業務だけに Sonnet を使う」が原則。デフォルトは Haiku で組み、必要時だけ昇格させる。


まとめ

2026 年 5 月時点では、宿泊現場の AI コストは月数千円〜数万円で抑えられます

ただしそれは、Haiku と Sonnet を最初から使い分ける設計 にしている場合です。

最初に高いモデルで組むと、運用後にコストが指数的に膨らみます。


ReFlow ができること

ReFlow の manual-bot-ai は、内部で Haiku / Sonnet を 自動で切り替える設計 になっています。

月額固定で全モデルの利用料金が含まれているため、運用後にコストが膨らむことはありません。

この記事を書いた人

伯耆原 翔

株式会社ReFlow 代表取締役

株式会社ReFlow 代表取締役。ホスピタリティ事業のオペレーターとして現場を運営しながら、その仕組みをテクノロジーで設計する。最新の AI を実運用にどう組み込むかを中心に発信しています。

ご相談

この内容を、御社の現場に当てはめて議論しませんか。