宿泊業の方から「AI で業務を自動化したい」とご相談を受けたとき。
私がいちばん最初に詰めるのは、機能でも仕様でもなく、「どのモデルを、どこで使うか」 です。
これを最初に決めずに導入すると、月のコストが想定の 3 倍に膨らみます。
この記事で分かること
- 2026 年 5 月時点の Claude モデル 3 種類の価格と特徴
- Haiku を使うべき業務、Sonnet を使うべき業務
- 100 室ホテルでの実コスト試算
- 「全部 Sonnet」が失敗する理由
2026 年 5 月時点のラインナップ
Anthropic の公式価格は次の通りです(1M = 100 万トークンあたり)。
| モデル | Input | Output | 速度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| Claude Opus 4.7 | $5 | $25 | 中 | 最難関のタスク(宿泊現場では稀) |
| Claude Sonnet 4.6 | $3 | $15 | 速 | 文章生成・判断・コード |
| Claude Haiku 4.5 | $1 | $5 | 最速 | 大量・定型・即応答 |
宿泊現場で Opus を常用するケースはほぼありません。
実運用の主役は、Haiku 4.5 と Sonnet 4.6 の 2 枚 です。
Haiku 4.5 を使うべき業務
Haiku の良さは「安い・速い・素直に指示に従う」の 3 点。
シンプルな質問への即答や、定型の整形・分類なら、これで十分です。
推奨ユースケース
- マニュアル QA: 「Wi-Fi のパスワードは?」「駐車場の場所は?」など
- 予約確認メールの定型生成: 名前・予約番号を差し込んだ文面
- レビューの感情分類: ★スコアではなく「料金不満/設備満足」のような多軸タグ付け
- 多言語翻訳の一次稿: 後で人が校正する前提なら Haiku で充分
コスト試算: 月 5,000 件の問い合わせを捌く
1 件あたり 入力 800 token / 出力 200 token と仮定すると:
- Input: 4,000,000 token × $1 / 1M = $4
- Output: 1,000,000 token × $5 / 1M = $5
- 合計: 月 $9(約 ¥1,350)
これが「マニュアル AI」の現実的なコスト感です。
スタッフ 1 名の 1 日分にも届きません。
Point
Haiku は「大量に来るが、答えがほぼ決まっている」業務専用。月 ¥1,000 台で回ります。
Sonnet 4.6 を使うべき業務
Sonnet の良さは「文章の機微・多段ステップの判断・コード生成」に強いこと。
人が読んだとき「あ、ちゃんと考えてる」と思える出力が必要な業務は、こちらに任せます。
推奨ユースケース
- クレーム対応文の生成: 怒っているゲストに送る、角の立たない返信
- エスカレーション判断: 質問を読んで「これは人に渡すべき」と AI 自身が判断
- レビュー返信文の生成: 施設のトーンに沿った高評価・低評価への返信
- 議事録の要約 + アクション抽出: スタッフミーティングの文字起こしから ToDo を起こす
- 業務手順書(SOP)のドラフト生成
コスト試算: 月 200 件のクレーム返信
1 件あたり 入力 3,000 token / 出力 800 token と仮定すると:
- Input: 600,000 token × $3 / 1M = $1.8
- Output: 160,000 token × $15 / 1M = $2.4
- 合計: 月 $4.2(約 ¥630)
質を妥協できない領域でも、件数が少なければコストは気にならない範囲です。
Point
Sonnet は「件数は少ないが、外せない判断・文章」専用。月 ¥1,000 以下でも収まります。
使い分けの設計パターン
ReFlow で複数案件に採用しているのが、「一次回答 Haiku → エスカレーション判定 → Sonnet で深く処理」 の 2 段構えです。
フロー例: マニュアル QA
- ゲストの質問を Haiku 4.5 が受ける
- マニュアルから関連箇所を引いて回答を試みる
- 信頼度が低い質問(マニュアル外・感情を含む文章)を検知したら、Sonnet 4.6 に投げ直す
- それでも判断できない場合は、人にエスカレーション
このパターンで、95% の問い合わせを Haiku が安く高速に処理し、残り 5% だけ Sonnet が深く考える 状態を作ります。
「全部 Sonnet」が失敗する理由
「とりあえず一番良いモデルで」と仰る方が多いのですが、これは罠です。
マニュアル QA を全部 Sonnet で捌くと、上の試算は単純に 3 倍 になります。
| 構成 | 月コスト |
|---|---|
| Haiku のみ(マニュアル QA 5,000 件) | 約 ¥1,400 |
| Sonnet のみ(同上) | 約 ¥4,200 |
1 施設で月 ¥2,800 の差は小さいかもしれません。
しかし 3 施設、5 施設と運営するチェーンでは、年間で数十万円の差 になります。
Point
「品質が必要な業務だけに Sonnet を使う」が原則。デフォルトは Haiku で組み、必要時だけ昇格させる。
まとめ
2026 年 5 月時点では、宿泊現場の AI コストは月数千円〜数万円で抑えられます。
ただしそれは、Haiku と Sonnet を最初から使い分ける設計 にしている場合です。
最初に高いモデルで組むと、運用後にコストが指数的に膨らみます。
ReFlow ができること
ReFlow の manual-bot-ai は、内部で Haiku / Sonnet を 自動で切り替える設計 になっています。
月額固定で全モデルの利用料金が含まれているため、運用後にコストが膨らむことはありません。
